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■師走トオル「僕と彼女のゲーム戦争 7」/電撃文庫



扱っているのはバトルフィールド4。知らんゲームなので、岸嶺の凄さは分かるが、具体的なイメージがつかみにくい。ゲームを扱った昔の作品(漫画)とか、読んでて「これは作者ゲームもう知らんで描いてるだろ」とか分かったんだけど、今はもうそういう判断すら付かない。どこまで実際のゲームに即した内容になっているのか分からない。ゲーム内で大道芸的ではあるがゼロではない、ぐらいのコトを岸嶺はやってるのかなあ。

まあ、具体的に内容が現実的なものかどうかは分からないにしてもそれでも面白い。弱いと目されている主人公が鼻を明かすというベタさを外さないのは強い。

ロートリストが「馬」と思いながら読んでいたが、今回は明かされず。「馬」の「4番抜いてください」のエピソードとかもきっとリアルで似たエピソードがあるんだろうなあ。

■夢枕獏「新・餓狼伝 巻ノ一」/双葉社



スクネ流の謎にちょっとだけ迫る。現状、毒を飲ませて暗示で相手の行動を縛るという感じで、どうにも凄味に欠ける。毒って。催眠、暗示のみだったらまだ良いんだが、毒とか仕込む必要あるのが微妙。謎の歴史方向の話も加わりだし、これはこれで幅が広がりそうだが、作品のカラーもちょいと変わりそうで心配もある。

丹波の次の相手はカイザー武藤。ジャイアント馬場がモチーフのプロレスラー。プロレスラーだが何でもアリの舞台で戦うコトになる。顔合わせがあったが丹波が良いようにパフォーマンスの材料にされている。が、丹波はカイザー武藤を事前に見れて良かった、見てなきゃ苦戦したと語る。姫川戦での敗北から結構立ち直っているな、この人。脱糞までしたのに。

この巻でひどいと感じたのは、巻末にボツ原稿が掲載されてて、ボツの理由が伊達とマカコの前哨をまだ書いてないと思って二度書いてしまったというもの。そ、そこまでボケれるものなのか。連載多々抱えていると脳内に留めておいたものなのかアウトプット済みなのか混濁してしまうものなのかな。

■御影瑛路「空ろの箱と零のマリア 2」/電撃文庫



シリーズ2冊目。あのラストからどう繋げるのかと思っていたが、Oというラスボスがあちこちにばら撒く「箱」の特殊ルールと戦っていく感じになるのかな? 毎回新ルール&その突破というゲームになりそう。面白い。

とっつきやすい導入だった。『多重人格みたいなもんだろうか?』と読者がイメージしやすいトコロから入ってて、前作よりもシンプル。

犯人に関しては特にひねりの無い正体なんだが、恐らくそこは重要じゃないんだろう。思考や言葉の定義を事細かに説明し、相手の本心がどこにあるのかを暴く部分がきっと肝。「人間、ここまで合理じゃないだろ。その場その場の愛憎感情で口にする言葉変えるだろ」とか冷めた視点も持ってしまうんだが、その一方でこういう理尽くめ世界に生きてる連中に憧れもする。

■入間人間「電波女と青春男 7」/電撃文庫



妄想という形でマルチエンディングを描く。短編集っぽい様相。前巻が最終回みたいなノリだったからなあ。じゃあ次はエンディングでしょう。

ヒロインとの個別エンドがどれもどことなく完全な幸せを感じさせない。今の関係がある意味ベストとも言える形になっているからなあ、作中人物も、読者の自分も。コメディで男女関係に大きな進展があるとこれまで築いてきたものが崩れるので博打。が、この未来は妄想なので許される。上手いぞ作者。

バカップル全開だけど一番もっともらしいのが前川さんエンドか。前川さんに対してこんな妄想をするなんて、丹羽は現実的には前川さん推しなのではと疑ってしまう。

■ダン・シモンズ「サマー・オブ・ナイト」(上・下)/扶桑社ミステリー

小さな町に威容を誇ってきた学校オールド・セントラルが、長い歴史を閉じ取り壊されることになった。終業式の日、教室を抜け出したタビーはトイレの壁に穴を見つけ入り込む。奥にはぼんやりした光。誘われるように彼は光の方に近づいていった……微かな悲鳴に生徒たちは不審を抱くが、教師らは取り合おうとしなかった。その日以来消息をたったタビーを自分たちで見つけ出そうと遊び仲間は相談する。それは夏休みの格好の冒険となるはずであった。しかし、その時を境に異様で恐るべき現象が少年たちを襲い始めた!

数名の少年の視点からなる群像劇。再読になるが、内容はほぼ忘れている。ホラーとしての大オチを考えず、少年たちの目先の悩みと付き合いながら読むようにしたら非常に楽しかった。特に序盤を丁寧に読み進めて、各少年たちの人となりを把握するようつとめた。明瞭な解説をせず、日常からキャラクターを浮き彫りにさせる作風で、楽しかった。

多くの少年たちが年齢特有の悩みや不安を抱えつつ生きているのに対して、デュエインが大人びた考えの持ち主であるため、読んでて共感し易い。町で起こっている怪奇に対してジワジワと真相に詰め寄っていく様は探偵。

上巻ラストは結構ビビった。過去読んでおいてこんな衝撃も全く忘れていた自分は何なのか。

ラストは一応クライマックス感はあるが、説明されていない謎も幾つかある。落ち着いてくると粗を感じちゃうんだが、読んでる最中はイチイチ面白かったのでオールオッケー。ダン・シモンズは過程の作家だ。

■夢枕獏「獅子の門 4」/光文社



久我重明の出番が多い4巻。あとがきによると板垣版餓狼伝へのゲストキャラとして久我の出演を打診された頃のようで、その勢いもあってか久我重明がこんなに活躍した模様。小説餓狼伝では強敵とされているブラジリアン柔術も久我の前ではあっさりと陥落。ルール等無い、壊す/殺す技で戦う久我には柔術も脅威ではない。

少年勢の中ではあまり目立っていなかった武智完が掘り下げられる。寺に居候しているからか、何か飄々とした雰囲気のキャラになっている。底が見えない感じで少年達の中では最も強そうではあるが、とらえどころの無さはキャラの薄さにも繋がる。

少年達が次巻から早くもトーナメントで対決するようで驚く。もうやっちゃうのか。が、この獅子の門、最終的には羽柴彦六と久我重明の戦いで締めくくるらしいし、少年達の戦いは今から始めても遅いぐらいかも知れぬ。

あとがきによると3巻から12年も空けての4巻だったそうで、追ってた読者は当時どう思ったのか。12年も空けていたのなら、この4巻のサービス精神旺盛なのも分かる。水入りになるとは言え羽柴VS久我もあるし。板垣漫画の熱さに刺激を受けたのかもナ。

■松枝蔵人「パンゲア」(全4巻)/角川スニーカー文庫

フツーの高校生、イージィこと上条泉は、パソコン通信中、奇妙な侵入者に出会う。「ARE YOU PANGAEA?」パンゲアは、イージィのパスワードだ。YESと答えたとたん、「12月24日、ニューヨーク・シティでお会いしましょう」という英文が数秒間画面に映し出され、そして消えた。数日後、差出人不明の招待状と航空券を手に、旅立ったイージィ。ニューヨークで彼を待っていたのは思いもかけぬ出来事だった……。

大半の大陸を飛び交う、世界を股にかけた冒険活劇。1990年前後に刊行された作品であるが、人工知能やら懐かしい題材にも関わらず、それら扱っている内容に古臭さは感じず。

やたらテンポが良く、これ今日日のラノベなら10冊かけてやる内容でしょーと思ったよ。終わってみればヒロインが微妙な扱いだったとも思えるが、それすら読んでる途中はどう転ぶか分からない先の読め無さとしてプラスに働いていた。

これは一年かけてアニメで観たいと感じた作品。アクションシーンだけではなく静に相当する場面すら読んでて逐一脳内で鮮明にビジュアル化出来た。NHKとかで行ける。何故かナディアを彷彿させるものがあった。あれか、スケールのエスカレートとかそういう辺りが原因か。

「神とは何ぞ」「人は神から逸脱出来るのか」というテーマに行き着き、曖昧なオチではなくこの作者なりの明瞭な答えを出しているのも良い。ベッタベタな解釈だろうとちゃんと作中解が存在してて、それに向かって溜めに溜めて最後に炸裂させる序破急、素晴らしい。

■夢枕獏「陰陽師」/文春文庫



「玄象といふ琵琶鬼のために盗らるること」「梔子の女」「黒川主」「蟇」「鬼のみちゆき」「白比丘尼」、以上6編収録。

シリーズ一冊目。安定していなくて逆に面白い。まず、一編一編そこそこの分量があるってのが今となっては新鮮。結構本筋と無関係な寄り道に尺割いている話もある。導入も毎回凝ってるしな。

一話目に相当する「玄象といふ琵琶鬼のために盗らるること」がやはり興味深い。晴明初登場回だけあって、キャラがまだ安定していない。挿入されている過去のエピソード、若かりし日の話とは言え露骨に黒いよ。

一人の作者が時の流れで変化している様をまざまざと感じられる一冊。この頃のほうが尖っているが、良い意味でマンネリ化したその後の陰陽師シリーズも全然アリというかむしろそっちのほうが気楽に消費出来てありがたいという気持ちがある。まあ、そう思ってしまうのは自分が今は夢枕獏作品を読了カウント稼ぎの対象としか見ていないためであり、普通にシリーズ初期からのファンならまた別の感想も出てきそうではある。

■夢枕獏「上弦の月を喰べる獅子」(上・下)/ハヤカワ文庫



あらゆるものを螺旋として捉え、それを集め求める螺旋収集家は、新宿のとあるビルに、現実には存在しない螺旋階段を幻視した。肺を病む岩手の詩人は、北上高地の斜面に、彼にしか見えない巨大なオウム貝の幻を見た。それぞれの螺旋にひきこまれたふたりは、混沌の中でおのれの修羅と対峙する。

導入が良い。螺旋収集家が日常から非日常に入り込むこの感じ、夢枕獏の作風の中でも好みのパターン。

途中からまるで異世界ファンタジーな舞台に変わるワケで、正直がっかりした。が、ただ無双する異世界系ではなく、進化をなぞるかのような上へ上への旅路、途中で提示される謎の魅力が大きく、これはこれで十二分に面白い。謎ってのは、「獅子宮で問われる問」というもの。クライマックスでのこの問答、期待していたほどはっきりしたアンサーではなかったのに、それでも興奮する盛り上がりであったよ。

文系が宇宙を解体/説明している作品で、作者自身あとがきで「数式を使わず宇宙を表す」狙いがあったと語っている。ちなみに今回のあとがきはやたらボリュームがあり、作者の思い入れがそれだけで見て取れる。完結まで10年かかったのか。

テーマはこれ、と一言で説明出来ない内容で、その分かりにくさも魅力の一つだと思う。純粋にエンタメとしても読める。今回の再読ではエンタメとして読んだのは勿論、『絶望の中で死んでいった魂の救済』についてちょっと考えたな。自分の親がいつ死んでもおかしくない年齢だし、昔より他人の死に敏感になっているのか。

■イアン・ワトスン「星の書」/創元SF文庫

川の東西間に勃発した戦争も終わり、川は再び静かな流れを取り戻した。奇しくもこの戦いの中心人物となった少女ヤリーンは、自らの体験を〈川の書〉に記し始める。だが運命は、まだ彼女を開放してくれない。“黒き流れ”に命じられ、ついに彼女は超存在の待つ真の戦いの舞台へ……。全宇宙を賭けた計画の全貌とは?

序盤は前巻の後始末的な話。宿敵の神学博士エドリックが登場し、ヤリーンを追い詰める。絶体絶命のシチュエーションをどう切り抜けるのかとワクワクしていたらそのまま殺されるというのにビビる。しかも死をトリガーに次なる舞台であるエデンへ移動するというのもまたビビる。豪快に世界をこじ開けていくこの感覚実にSFしておる。

エデンでの話がこの巻のメインになるが、ヤリーン同様にここにやってきた子供達が色々いて多々世界が存在しているんだなと、楽しい。死んでも追ってきたエドリックとの駆け引きから後半の月を舞台にしたやや自棄糞染みた突破法まで、よくもまあここまで予想不可能な話を考えられるもんだ。

ラストの4章、随分大きなヒント出していたのに自分は全く気付けず、このベタな仕掛けにも素直に感心した。章タイトルとか事前に目にしていたのに普通に「ここで主人公交代か?」ぐらいに考えてたよ。

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(これは藤林杏の為の歌じゃない)
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