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■魍魎の匣感想 最終回(第13話)「魍魎の匣、あるいは人の事」/アニメ

「幸せになる事は簡単なんだ。人をやめてしまえばいいのさ」(京極堂)

最終回。絵的描写の関係上、小説版を読んだ時とは異なり、突如としてSFチックな雰囲気を感じてしまった。終戦直後の時代でのやり取りとは思えないような印象に。久保の意識描写や研究所内の雰囲気がそんなSFイメージを想起させたのか。まあ、ギリギリアリの範疇。いや…ナシかも。どっちだ。まあ最終回だし、アリとしよう。

総括的なコトを書くなら、トータルではとても自分にとって好ましいアレンジ作品だった。何を足して何を引いているか、その取捨が好ましかった。原作付き作品の別メディア化は、原作を完全に再現するのは当然不可能なので、監督がどう取捨するか/そしてその創作が如何に自分に好ましいかどうかが問題なワケで、この作品はそういう意味で、自分が身構えていた以上の出来になっていた。尺ギリギリに収めるだけのダイジェストにするのではなく、時に思いっきり引いてしまう。尺的には余裕があっても思いっきり削って、そこに恣意性の高い映像を入れて、受信者の受信精度にお任せしちゃう手法。これは好ましかった。初期から感じたコトだけど、PV的な映像、これがいい方向に自分には働いていた。プロモーションビデオ的な映像ってのは、受け取り方によっては、僅かな映像だけで多大なメッセージを感じられる。

全13回、時間にしてみれば6時間ちょい。頑張れば原作も読み切れるだけの時間を、確かに原作と同様の密度を感じながら堪能出来た。シリーズ別作品もこのクオリティで観てみたい気持ちになっている。

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■魍魎の匣感想 第12話「脳髄の事」/アニメ

「しかし陽子さんは知らなかったのでしょう。ここ、美馬坂近代医学研究所では、生きる事の意味が違うのです」(京極堂)

解決編。京極堂による、やけに分かりやすい事件の魍魎解き解し。以前魍魎について延々喋っていた時よりもはるかに分かりやすい。弁護士もやけに聞き分けがいい。こうしてみると想像以上に伏線が仕込まれていたんだな。

加菜子を突き落としたのは頼子。その時の証言に出ていた黒衣の男のモデルが京極堂だったというのは思い至らず。頼子が関口の小説を読んでいてもおかしくない描写が仕込まれていたというのに驚く。そこも関連していたのか。今回冒頭でも挿入されていた作中作関口巽「目眩」が単なるイメージ/前作の残滓だけではなくここに絡んでくるとは。刑事含めて頼子の中二力に翻弄されまくっていたってのは、いつの時代も変わらないな。

そして陽子が受け取った脅迫状。狂言誘拐というのは直感で分かるにしても、そこに至る京極堂の外堀の埋め方がイイ。切り抜き、『命が惜しくは金』ってのは確かにそうそう出てくるフレーズじゃない。時代劇の台本だったとは。この台詞を作中の映画にて陽子が演じてるキャラが放ってる描写もあったりしたのかな。ちょっと覚えてないけど。

研究所が人体を生かす為の箱、脳及び最低限の臓器だけ残して小さくなってた加菜子が運ばれたのも箱。箱尽くしで作品タイトルが強調。そして今はどうやら久保がそんな状態になってここにいる様子。

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■魍魎の匣感想 第11話「魔窟の事」/アニメ

「どう治療したんだ?」(木場修太郎)

木場、箱研究所に乗り込み美馬坂と対峙。軍服で覚悟完了して乗り込むのが妙に面白い。何をあんたは陶酔してるんだ的面白さ。木場と柚木陽子は双方が悲恋チックな気分に浸ってるのか。木場が一方的に盛り上がってるようにも思ってたんだけど。こうして見ると、「姑獲鳥の夏」は関口の事件で、この「魍魎の匣」は木場の事件だと言うのがよく分かる。登場人物はフルで回ってるけど、この二作目は木場へのスポットが甚だしい。

戦時中に日本が行なってきた面白研究コーナー、それにガチでアプローチしてるのもこのシリーズ。今だったらそれはないと笑い飛ばされるものに真剣に取り組んでいた。んで、それがマジで実用化されたら的な内容。中禅寺が不真面目に取り組んでいた洗脳実験も、別の物語では改めて描かれているしな。

楠本頼子といい久保といい、死者をスルーしつつ話がサクサク進んでいく。久保はともかく頼子は悲惨だ。エンディング映像は同じなのに、後半の今ではレクイエム的ムービーと取れて、意味合いが変わっている辺りは狙ってるのか僕が勝手にそう受信してしまっているのか。

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■魍魎の匣感想 第10話「鬼の事」/アニメ

「関口君、久保の作品はね、幻想や不条理を計算して書いたものではなく、殆ど日記だ」(京極堂)

犯罪者がブログにそれとなく犯行を書いていたようなもんなのか。決してmixi的なDQN自慢ではなく、さりげなくフィクション風味で書いてたら気付かないもんだ。現代ならば、犯行後にブログがアチコチで晒されて瞬間的に盛り上がっていたであろう事件。毒メグとかああいう感じで。

久保はさておき、今回は久保の父親であるオンバコ様、例の胡散臭さ炸裂の修験者風衣装の老人を、京極堂が持ち前の話術で延々いたぶるのがメイン。いい具合にハッタリも交えて詭弁で落とす。心を叩き折る。巫女を胃痛と診断したりしてたのはマジでハッタリだった。たまに相手の台詞を強引に遮ったりしてたりもして、京極堂は中々に強硬派。正直、こんな一連の台詞で落ちるなよー、という気分にもなるんだけど、場の空気何かも含めて飲み込まれちゃうんだろうなー。そういう絵的な演出も頑張っていた。

後は久保を逮捕すればもう終了、というトコロで、久保のバラバラ死体が発見されるというラスト。

関連話として、最近「鉄鼠の檻」をボチボチと再読してるんだけど、アニメ版榎木津礼二郎はローテンション過ぎてやっぱ微妙に調子狂うな。高笑いしてくれなきゃエノさんじゃないよ。

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■魍魎の匣感想 第9話「娘人形の事」/アニメ

「何を隠そう僕らは日本でも指折りの霊能者なんです。その名も御亀様」(榎木津礼二郎)

榎木津、頼子の母をたばかる。当然の如く頼子の母は馬鹿にするな的激昂を見せるも、榎木津が記憶読みを駆使して蒸発した夫の容貌を逐一当ててくるので一気に信用へと雪崩れ込む。頼子といいその母といい、関口は会話が通じないのに榎木津は通じているというのは、関口悲惨。そんな関口がどうやってあんな妻をゲットしたのかがシリーズ屈指の謎。

榎木津は本気出したら何でも一瞬で解決しちゃうので、飄々とした/事件に対して真剣に接しないキャラ属性が加えられている。自分は分かっても他人に伝えようとしなかったりと、どれだけ関らせないように出来るかが作者としてはポイントになってそう。探偵としては反則キャラだしな。

ブロマイド顰めてたぐらいファンだった女優が17歳で出産してた事実も知ったであろう木場、それでも捜査続行でハードボイルド路線を貫く。木場的には出産済み未亡人とかそういうジャンルはむしろ美味しい属性なのかも知れない。まあ何だ、久保竣公よりも健全だ。久保竣公は現代に生きていたら、改名後の古場美一の作品にハマってたタイプ。

京極堂、バラバラ殺人の犯人に至る。しかし直後に頼子の両腕が発見されるという、間に合わなかったタイミング。頼子も随分と悲惨だ。中二病から抜け出すコトなく同級生からも浮いてる扱いされたままこんな結末だなんて、いいトコ無かったな。母も悲惨だ。

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■魍魎の匣感想 第8話「言霊の事」/アニメ

「何だ…何だ一体。偶然、いや蓋然か? 必然では有り得ない」(京極堂)

狼狽する京極堂。こんなに慌てる京極堂は見たコトがないと関口も驚いている。狼狽した為か、髪の色も薄くなっていたような京極堂。いやまあ普通に日光描写なんだろうけどさー。何かそれだとしても、本の虫が日を浴びて枯れつつあるようにも見えてくる。日を浴びると弱体化しそうなのは、むしろ関口なのに。

榎さんが関口を引き連れて楠本頼子に聞き込みチャレンジ。頼子のモノローグによる関口&榎木津評は、関口怪しい、榎木津は目が澄んでるから嘘が付けない人。改めて、頼子は思春期における中二病体現者なんだなーと思ったよ。柚木加菜子のポエミカルな語りに惹かれ、周りの人間と自分は違うと思う辺り。榎木津はDQNじゃないけど、DQNに惚れこむタイプ。

久保作品の娘を中禅寺敦子イメージで読んでいたというのは、関口えぐい。惜しむらくは、箱の中の頭部の絵が、クランプ絵だと誰が誰だか見分けが付かないのでミスリードとして大きく機能していなかったという辺りかなー。

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■魍魎の匣感想 第7話「もうりょうの事」/アニメ

「魑魅魍魎と繋げて言う場合にはそうなる。だがばらした場合は少し違うよ」(京極堂)

以前からこのアニメ版に関して、京極堂が延々と20分ぐらい喋ってる展開になったりしないかなーなんて思ってその旨を書いていたんだけど、ホントにそれをやられるとキツいものがあった。『あのそろそろ勘弁して頂けないでしょうか』と観てて思ってた。あの古本屋ずっと喋ってるのな。誰も止めないし。この7話は冒険し過ぎなので、後世まで語り継いでもいいんじゃないかな、アニメ史的な見地から。

その分原作再現度はかなり高めになっている。原作でも「あのコレいつまで続くの?」とうんざりした中禅寺トークが炸裂。原作未読でアニメだけ視聴している人には大変な洗礼だよ。今回はほぼそれだけで一話消費してる。これ第1話でやられてたら視聴断念してただろうな。

担当声優も今回は大変だったんじゃないかと。ワケわかんない単語が連発する台詞を流暢に語ってるし、相当の労力だったんじゃないかと。プロだな。よく聞いてると、イメージをイメエジと語ってたりしててマジでプロだ。派生して思ったのが、この原作小説をもし海外向けに翻訳する場合、えらい大変なんじゃないかと考えた。自分の訳が合ってるんだか合ってないんだか判断に困って訳者が発狂しそうだよな。

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■魍魎の匣感想 第6話「筥の事」/アニメ

「参ったなあ。僕は魍魎は苦手なんだよ」(京極堂)

アニメ版京極堂は穏やかな笑みを浮かべたり、困ったように頭をかきつつ上の台詞を言ったりと、表情/表現が豊かになっている。豊かって言っていいのか分からないけど、内面の感情無関係で常時仏頂面しているイメージがあるので。

関口が前回に引き続き驚き役に徹している。何年付き合いあるんだよ、いい加減慣れろよ、としか言えない。『僕は慣れているからいいものの』とか考えてるけど、慣れてないだろ。毎回驚いてくれるなんて、いい客だ。客?

ほぼ前半を費やして、京極堂による霊能力者や宗教家などの定義の違いを説明。一緒くたにされがちなものを事細かに定義分け。リアルじゃ普通にKYだよ。ていうか作者の京極夏彦はリアルにKYなんだろうなーと。インタビュー記事とかでもインタビュアーに対してこういうコト普通にやっててあの人ヤバいと思っちゃうし。KYっぷりが面白いんだけど、こういう風な面白がりかたをしてる僕は少数派なんだろうな。ピューと吹く!ジャガーの登場人物が醸し出す面白さだし。

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■魍魎の匣感想 第5話「千里眼の事」/アニメ

「私は恐れている。物語を終わらせる者の登場を」(関口巽)

透視超能力者のエピソードをじっくり描いてほぼそれで前半を消費する構成に感動した。その前フリを以って、榎木津礼二郎が登場。取捨択一が原作を重視してる感がしていいわー。いや、超能力者の話とかもっとあっさり済ませて榎木津礼二郎を長時間映してたほうが二次的ファンに受けそうじゃん。その選択を取らずに原作重視な話の運びを残しているのがいいわー。

榎木津礼二郎はテンション低くて参った。当然自分の抱いていたイメージとは違うけど、クランプ成分をたっぷり注入してファンの幻想を砕かない範囲に収めた上で、上記のように原作を崩さない造型にしているのは上手い。クランプ絵でどんよりした目にデザインされてるのは冒険してるかも。まあ、他の登場人物もどんよりしてるの多いけど。関口が一番健全そうな顔つきしてるぐらい。喋らなければ。

そして物語を終わらせる者こと京極堂も登場。耳障りのいい喋りだったのが意外。あんま量は喋らなかった。初登場時には是非20分ぐらい喋り続けて欲しかったんだけど。鳥口を正確に見抜いてる京極堂に対して「千里眼を得たのか?」なんて感じで関口が驚いてるけど、長年付き合いあってまだそんなコトに一々驚ける関口に驚く。どんだけリセットな日々を送ってるんだよ関口。

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■魍魎の匣感想 第4話「火車の事」/アニメ

「幻想や不条理を計算で書ける人は、素直に尊敬する。私はありのままを書いているのだ」(関口巽)

これまでの段階では、『関口のペンネームが久保竣公なの?』と思う人もいたかも知れないけど別人というのもはっきりした回。挿入される関口による「匣の中の娘」モノローグは、朗読ライブ的なものとしても見れて色々演出にも幻想感覚が出ている。序盤がとにかくワケの分からない京極夏彦小説の持ち味が実に再現されているではないか。

よくよく見たら、「匣の中の娘」は久保竣公遺作ってのも明記されているのね。遺作。あー、上記に引用した台詞(モノローグ)とか、原作読んで展開分かっていると味わい深いものがあるなー。原作もオチ知った上で再読したら仕掛け/仕込みにニヤニヤ出来て楽しそうなんだけど、なかなか読んだ直後には再読なんて出来ないものだった。ある程度記憶から劣化してからなら何とかなるけど。

このアニメ版を観てて、そういう仕込みに感動出来ている部分もあり、もう一つ、映像ならではの演出も楽しめている。毛色がやや違うけど、ウテナのコラージュ的な演出、あるいはビジュアル系バンドのPVのようなアレ。伏線として意味があったりする映像なんだけど、意味を剥ぎ取って単に映像だけで観ても何だかイイなーという、そういう部分に何故か今回は乗れている。普段は穿っちゃいがちで乗れないんだけど。Dグレとか乗れないんだけど。

いよいよ次回は榎木津礼二郎が登場する様子。自分が榎木津礼二郎に抱いているビジュアルイメージは漫画版「封神演義」の中ボスのあの人なんだけど、クランプバージョンがどう動くのかが楽しみ。是非ハイテンションでひとつ。

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(これは藤林杏の為の歌じゃない)
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