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■恩田陸「図書室の海」/新潮文庫

あたしは主人公にはなれない--。関根夏はそう思っていた。だが半年前の卒業式、夏はテニス部の先輩・志田から、秘密の使命を授かった。高校で代々語り継がれる〈サヨコ〉伝説に関る使命を……。少女の一瞬のときめきを描く『六番目の小夜子』の番外編(表題作)、『夜のピクニック』の前日譚「ピクニックの準備」など全10話。恩田ワールドの魅力を凝縮したあまりにも贅沢な短編玉手箱。

春よ、こい/茶色の小壜/イサオ・オサリヴァンを捜して/睡蓮/ある映画の記憶/ピクニックの準備/国境の南/オデュッセイア/図書館の海/ノスタルジア 以上10編収録

各編、読み始めてすぐに語り手にすんなりと協調/同調できた。言語化しにくい心理を比喩を交え表現しつつ読み手にそれを染み込ませるってのは、さり気無く書いているようで恩田陸は文章が上手いってコトなんだろうなー。何故か、昔の自分を引き摺り起こされる。一言で言うなら、ノスタルジー。9編読んだところで一旦本を閉じて、そんなコトを考えて最後の1編を読もうとしたらタイトルが「ノスタルジア」だったのには驚いた。計算付くなの? 僕に限らず万人に懐古を与える作風だったりしてて、それを自覚してたりするんだろうか。

多くの作品が恩田長編の外伝的なポジションになってるんだけど、当然、独立して楽しめる。既読長編の外伝もあったけど、正直「六番目の小夜子」とか内容忘れてるしな、僕。それでも楽しめたし、再読したい気分になった。

「春よ、こい」の眩暈感覚で引き込まれて、その後全10編ほぼハズレ無く楽しめた。ジャンルも舞台も時代も縦横無尽に変更される10編ながらも、統一感を感じさせる短編集。統一感を出しているのは、前述のノスタルジーかな。

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