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■夢枕獏「悪夢喰らい」/角川文庫



夢枕獏の小説はひたすらに読み易い。スルスル読めてあーエンタメ楽しんだーという気持ちで終わる。そして、忘れる。この短編集もきっと昔読んだハズなんだが、全く忘れてて初読感覚で堪能できた。

「鬼走り」「ことろの首」「中有洞」「のけもの道」「骨董屋」「四畳半漂流記」「八千六百五十三円の女」「霧幻彷徨記」「深山幻想譚」、以上9編が収録されている短編集。

ホラーやSFに分類されるんだろうが、幻想というカテゴリが相応しいかな。ホラーに徹するには緩くて、SFに徹するには詰めが甘い、しかしそれでもストーリーテリングの妙技で何だかこれで十分だなーと思わせる作品群。

初期の短編集ながらも、以後の夢枕獏を確立させる要素は滲み出ている。山と螺旋。特にこの作品群は山を扱ったものが多い。作品の本題から逸れている部分で山ネタをふんだんに盛り込んできているな。まだ山そのものをテーマに描くには不十分だった頃だったのかな。

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