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■夢枕獏「キマイラ4 魔王変」/角川文庫



九鬼が動き出す。学校に来て各部主将と素手で対戦、ほぼ傷つけずに圧勝して去る。菊地は今度どうなるのか。ただただ邪気に染まっていくが、永遠の雑魚のままではいられないはず。キマイラ化せずとも、強さを求める余り何かの実験材料を買って出そうなキャラではある。

九鬼、深雪に手を出す。性的な意味で。九鬼の由美魅への執着、こればかりはどうにも小物感が否めないんだよなあ。由魅がとんだ曲者で必要以上に九鬼を翻弄しているのかも知れぬ。九鬼、もっと冷静な性格だろうに。

前巻で九十九に敗れた龍王院弘、そのまま気絶から目覚め、そしてその場でボックに圧倒される。気持ちを奮い立たせて蹴りを放ったものの、虚空を切るというオチ。弘も今後成長して再登場するのかなあ。ここまで一気に落ちぶれるのは意外であった。

■赤川次郎「魔女たちの長い眠り」/角川文庫



「魔女たちのたそがれ」の続編。

「たそがれ」と「長い眠り」で続き物だとは知らなかった。よくもまあ、運よく順番に着手できたな自分。これ逆から読んでたらすごいネタバレ食らっていたではないか。

以下ネタバレ。

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■甲田学人「Missing 神隠しの物語」/電撃文庫



フォークロアを再解釈して現代感覚の物語にしているオカルト系作品。

導入が桜満開な中での男女の出会いなので、自分はどうしても絡新婦の理を彷彿してしまう。が、このシリーズはミステリではなくオカルトファンタジーになるので、何から何まで合理に解体されるワケではない。かと言って出鱈目ばかりではなく、霊とかアリな世界観ながらもその有り様に関しては作中ルールがちゃんと存在してて、それがこの作者ならではのオカルト再解釈になっており、面白い。

シリーズ一作目というコトもあり、登場キャラクターの生死すらどうなるのかわからないという楽しみもあった。シリーズ作品であっても世界観共通なだけで次巻から別キャラが出張る可能性もあり、つまりは今作のキャラが死ぬ可能性もある、という意味でのハラハラ。

この1作目は神隠しの再解釈であり、ネタ的にも展開的にも分かりやすいものだった。一冊目だからね、導入はこんな感じで宜しいのではないかね。衒学一辺倒なワケでなく、作者流の味付けが中々面白いので今後も楽しみ。全巻購入済みだよ。

■夢枕獏「キマイラ3 餓狼変」/角川文庫



九十九が自信を失い、そこから回復する巻。敗者へのフォローを入れまくる作者なので、この流れも当然。初登場時モブ同然だった坂口とか菊池とかにもフォロー入るからな。九十九再生物語はあって当然。

驚いたのが、龍王院弘が九十九に負けるという点。九十九復活の締めくくりとして相応しい相手に違いないけど、もっと上行ってそうなキャラだと思っていたので意外。弘さん、前巻で異形のキマイラにビビっていたけどまあ人外だから仕方ないと思ったのに、この3巻で人間に負けてしまうとは。で、また今後は龍王院に対するフォローが入ったりするのかな。

フリードリッヒ・ボックなる新キャラが出てこちらが次なる九十九の乗り越える目標になりそう。九十九絡みで話が進んでて、主人公影どんどん薄くなっている。

台湾に存在していた第三のキマイラ「巫炎」が登場し、作中でキマイラというのがチャクラ関連の外法によるものらしい、と明かされる。あやふやなまま終わりそうな部分に早くもちゃんと理由付けしてきたのは嬉しい。

■赤川次郎「哀愁時代」/角川文庫



ある冬の日、24歳のOL・雨宮純江が同じ会社の中年男性に処女を捧げる。その後彼女はどうなったのか? このプロローグが終わると、雨宮純江の大学時代から改めて物語が始まり、彼女の人生が描かれる。

ミステリ的なオチは無い。が、それでもどうなるのか気になってページを繰らせるいつも通りの赤川次郎であった。純江、何度も貞操の危機に直面するものの、プロローグで処女を捧げているのでどうにかして回避するんだろうなーと読んでた。何だかんだで横やりが入る。こう書くとコメディノリなのかと思われそうだが、この作品はひたすらシリアス。

運命に翻弄された、としか言いようがない展開であった。とことん悲惨で、どうしてこんな不遇を逆転もなく与え続けるんだろうかとしか思えない展開であった。家族崩壊で狂わされた人生、せめて家族再生の爪痕を残そうとしての導入だったんだろうが、それが報われているのがせめてもの救いか。

■夢枕獏「闇狩り師 1」/徳間文庫



知力の高いマッチョの九十九乱蔵を主役に据えた連作短編集。

裏表紙に「妖魔封じを稼業とする祟られ屋---いわば《現代の陰陽師》である」と紹介されているが、現代の陰陽師ってのはダブルミーニングなのかな。前も別の闇狩り師の感想で述べたが、同作者の「陰陽師」シリーズを、舞台を現代に置き換えたような作品群だし。怪異が起る、乱蔵がその妖魔を解説しつつ解決、という流れ。

妖魔相手に九十九乱蔵のマッチョ設定は話的にはそんな活かされないだろーと思うが、人間相手に無双する様もだいたい毎話あり、爽快感に繋がる。また、たまに妖魔相手にもそのマッチョっぷりで強引にねじ伏せる。巨漢で頭がいいってのも、当時としてはもしかしたら珍しい設定だったんじゃないかなあ。一人称オデ系じゃない、スマートな精神のマッチョ。

何か似た設定の話も多いんだが、そこはもうこの作者のテンプレなのかもなあ。妻もしくは娘が夜な夜な淫乱になるのでどうにかして欲しい、みたいな導入、これ前も読んだよ。もしかしたら、陰陽師でも読んでるかも知れない。

■御影瑛路「空ろの箱と零のマリア 5」/電撃文庫



大嶺醍哉の箱「罪と罰と罪と影」は罪を自覚させる。小林玉美みたいなものかなーと思いながら読み始めたら、デスノートっぽい展開になった。罪を自覚して自己の生活を自分で監視するような抑制機能。原罪にアプローチしているのかも知れない。

デスノートが流行った当時にこの手のアイテムの是非談義はある程度出揃っちゃってるので、そんなに興味深い掘り下げはないだろうなーと思っていて、まあ実際そうだったんだけど、後半から話題が別件(醍哉へのメンタル攻撃)に変わって、読了まで興味が持続出来た。

で、話はこの巻で完結していない。3・4巻で続きものだったように、次巻以降な終わり方。全7巻だし、このままラストまで一つのエピソードになるのかな。Oの正体も明かされるしタイトル回収もあったしで、クライマックス感たっぷりだ。

それにしてもここまであからさまに醍哉が敵になるとは予想出来なかったな。作中人物同士の距離感がクールだ。馴れ合ってそうで腹に一物抱えていた、というよりも、友人だろうが容赦なく自分流に是正を叩き込む、というか。ガチで命がけの戦いしているのに終わったらノーゲームで普通に友人関係回復しそうでもある、そんな距離感。

■ダン・シモンズ「カーリーの歌」/ハヤカワ文庫



死んだはずのインドの大詩人ダースが生きている! そのうえ新作まで書きあげているという。編集者兼詩人のルーザックはダースの新作を入手すべくカルカッタへ飛んだ。だが、熱気と悪臭に満ちたカルカッタはルーザックにとって悪夢の都だった。しかもダースの行方を調査する彼に、暗黒神カーリーを崇拝する教団が魔手を伸ばしてきたのだ!

シモンズは先の展開は考えずに、目の前で起こっている出来事のみに注目しひたすら流される読み方がベスト。今回もそういう読み方で楽しめた。シモンズはラストが弱いコトも多々あり、そういう意味でも大オチとか期待しないで過程の面白さに身を委ねるのが良い。過程過程はホント面白い。

特に、途中で挿話されるムクタナンダジの語り、殆どが必要ないような内容なんだけど、読んでる内は妙に惹き込まれる。ムクタナンダジの出生から語られて、余計な枝満載なのになんだか惹き込まれる。話が終わった時はルーザック同様軽く切れそうになったが、こういう脱線を作家は書きたくなって実際書くとシモンズがどこかで語っていたコトもあったので、許せた。

ビジュアルが浮かんでこれは良い演出だなと思ったのは、闇の中でカーリーの像の攻撃を喰らうシーン。目が慣れない完全な暗黒、マッチを擦って断片的に浮かぶカーリーの肉体、この絵面演出はかっこいい。クライマックスの一つで視覚を制限するってのは面白い。

終盤は夫婦の再生物語みたいになって拍子抜けではある。でもまーホラーに多いブツ切れ不穏余韻系よりかはこういうお約束な後始末のほうがまとまってはいるかもなー。

■赤川次郎「明日を殺さないで」/角川文庫



西山絢子は19歳。新婚たった二週間の若奥様。普通なら甘い、甘いアツアツ生活の最中なのだが、幸福はそう長くは続かなかった。夫の良和が何者かに殺され、しかもその犯人が絢子を溺愛する兄岳夫らしいのだ!!!
絢子の昔のボーイフレンド、岳夫の婚約者由貴子、良和の腹違いの兄と名のる八木、殺し屋、チンピラと謎の人物が次々と現れて……。

夫を殺したのを自分を溺愛する兄と即座に判じるものの、警察に突き出そうとはせず割りと普通に接して生活を続行する導入。ここでユーモア系作品と分かる。ラストはややシリアスになるが、終始浮世離れしたやり取りが続く。マジな雰囲気でこの作品を描くと重くなりそうなものだが、このユーモアっぷりで妙に安心してスルスル読める。

結構これ悪漢小説なノリがある。前述のユーモアでカモフラージュされているが、倫理観とか度外視した展開だよこれは。兄、「殺し屋相とは言え一人殺しているし」。万々歳なラストじゃないのに清々しいのが凄い。ベストセラー作家が何気にこんな勧善懲悪とは言い難い作品発表してるのも素晴らしい。

上の梗概、よく読むと嘘とか書いてないんだな。慎重だ。昔の作品のあらすじって地の文ながらもミスリードの為に嘘書くコトもあるからなあ。その慎重さも素晴らしい。が、それで自分は終盤の展開を察してしまったきらいもある。

■一肇「フェノメノ 弐」/星海社FICTIONS



「時計塔の穴」「猫迷宮」「ろろろ」の3編が収録。連作短編集であるが、各キャラクターの変化は1巻から順に続いてて、収録3編はそれぞれケース4・5・6となっている。

「猫迷宮」が良かった。夜石は言葉足らずというか発言が自身で完結していてて伝達能力に欠けるワケであるが、他人を気遣えない=優しい嘘などつかないタイプ。それ故にあのラストは安心して受け入れられる。

この2巻は融解ファフロツキーズという副題がついてて、次巻が収斂ファフロツキーズとなっている。短編集ながらも怪雨現象絡みのネタが一連の作品で描かれてて、まだ解決していない。怪雨現象もなあ、竜巻とか作中で出ているネタは否定した上のオチが来るんだろうが、面白いラストに出来るのだろうか。この巻ラストで登場する(写真だが)女性が凄く勿体振った登場でラスボス感たっぷりだ。怪雨よりもこのキャラの行末のほうが楽しみ。

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