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■夢枕獏「遙かなる巨神」/双葉社

「木犀のひと」「どむ伝」「魔性」「わらし」「蒼い旅籠で」「消えた男」「千日手」「遙かなる巨神」、以上8編の中短編とタイポグラフィックストーリー7編が収録。

後書きによるとこれが二冊目の出版物だった模様。初期も初期だけあり、改行率が低くて文章密度がある。作者の小説家生活による経験・熟練で失った物得た物をあれこれ考えちゃうな。

タイポグラフィックストーリーは梶尾真治の忠告を守りその後は控えたようで、良い判断だったと思う。文字をその絵面で表現するようなもので、今日日のAAとかオノマトペをそのまま書くネット会話SSみたいなものに近い臭いを感じる。

表題作にもなっている「遙かなる巨神」が割りと真っ向からSFしてて宜しい。巨人とは何物なのか? 明確な答えが出ないまま雰囲気重視で終わると思いきや、それなりにその正体に迫ろうとしていて、今となっては夢枕作品でこれは珍しい。いや、未知を既知にまできっちり解体してその正体が判明するワケではないんだが、ここまで割れたらSFとしてももう充分だろというトコロまでは行っている。

ここまで明かされなくても、今の自分なら幻想が合理に落ちないまま終わっても許容だったと思う。「遙かなる巨神」は原始人に重力だの天体だのと言った世界運用のルールが理解出来ないだろうという感覚を思い起こさせたし、このまま幻想で終わっても充分だったので、この掘り下げは意外で、結果楽しめた。この作品も再読なんだけど綺麗さっぱり忘れていたよ。

■鎌池和馬「とある魔術の禁書目録 11」/電撃文庫



このシリーズを読むのも一年ぶりで、かなり誰が誰だか混乱した。シスター関連で。シスターって、思い浮かべるビジュアルがほらだいたいアレなので、どれもこれもイメージ同じという。自分のコトなので、これは一年開けなくても混乱していたかもな。

相変わらずゲーム的な兵器の設定が面白い。強力な攻撃力を持つが、攻撃対象がヴェネツィア限定というのが非常にゲーム的で分かりやすくて良い。そういう武器ありそうだし。その武器を改良しようとするってのも、アイテムが飽和しててとんだ抜け道がある感じで良い。組み合わせ次第で作り手の予想外の効果が出るという、グリッチっぽい方法を見出している司祭が良い。

インデックス、学園離れて海外に飛び、他に強力なヒロインが居ないってのに、それでも活躍出来てないのが切ない。1巻ぐらいヒロイン出来る日は再び訪れるんだろうか。まあ、訪れんでしょうなあ。

■野﨑まど「なにかのご縁」/メディアワークス文庫



お人好しの青年・波多野ゆかりくんは、あるとき謎の白うさぎと出会いました。いきなり喋ったその「うさぎさん」は、なんとその自慢の長い耳で人の『縁』の紐を結んだり、ハサミのようにちょきんとやったり出来るのだそうです。さらにうさぎさんは、ゆかりくんにもその『縁』を見る力があると言います。そうして一人と一匹は、恋人や親友、家族などの『縁』をめぐるトラブルに巻き込まれ……? 人と人との“こころのつながり”を描いた、ハートウォーミング・ストーリー。

上に引用した裏表紙梗概通りの内容で、これは拍子抜け。野﨑まどに自分が期待しているような内容では無かった。期待しているってのは、終盤でのイヤーなどんでん返しですよ。それっぽい解決を見せて安心させたトコロで更にまくし立ててくる理解外の真相ですよ。

いや、梗概通りの内容だったと書いたもののそれも読了しての感想に過ぎず、この梗概すら裏読みして不穏なものを感じてワクワクしたものよ。何かこれ仕込んでいるだろ、と。なのでホント拍子抜けであったよ。

作風の広さを知るには充分な出来で、「まあこういうほのぼの作品も描けるんだな」的な気持ちにはなったが、作者の本領が発揮されていないと感じるイレギュラーな一作という感想に留まる。一応シリーズ物のようで、今後シリーズ終盤でとんでもないサプライズが用意されているのかも知れない。しかしこのシリーズを今後積極的に手に取るコトは無いだろう。そこまでのご縁でひとつ。

■夢枕獏「餓狼伝 12」/双葉社



前半は姫川源三の正体に迫る話。夢枕作品ではやや珍しいかも知れない、企業やら家系やら絡みでのいざこざが説明される。丹波が源三の下で修行するのかと思っていたんだが、仮にそこにたどり着くとしてもまだ数巻要するっぽいな。

源三が使った謎の技術は何なんだろう。刃牙で出てきた0.5秒の先読みみたいなもんなのかな。刀が通り抜けたのを反芻する描写もガイアの先読みっぽいし。格闘で例え刹那であろうと先が読めるのは有利、というのを描いたのはどの作品が初なんだろうか。自分が知る範囲ではターちゃんかな。

後半は巽真の過去が描かれる。力王山が登場する。漫画に影響を受けての原作逆輸入のようであるが、象山と戦うような雰囲気でこの巻は終わっており、これは弟子に金玉潰されて自殺するよりはマシな退場させてもらえそうではある。いや、象山に金玉潰されるかも知れないな。

■入間人間「電波女と青春男 5」/電撃文庫



海で水着な話。挿絵のリュウシさん乳デカ過ぎでビビるんですが。

宇宙人に惹かれる老人が登場。現在進行形で積極的ではないながらも夢を追い続けている人物がアクセントとして出て来るな。短編の宇宙に行ったコトのある中年もそうだし。

どんどん薄くなってきているけど、四十路の女々が主役を張った巻が一番ボリュームがあるってのはどうなの。無理して面倒そうなヒロインを最初に掘り下げたのかと思っていたんだが、女々が動きまくって作者の手に負えなくなってきているようにも感じる。

■師走トオル「僕と彼女のゲーム戦争 3」/電撃文庫



一巻から仄めかされていた幼馴染の女の子が登場。同じ学校の図書館でたまに見かけていたあの人がそのままその人だった。芸能科でアイドル活動をしている設定。しかもアイドル好きの顧問がファンであるにも関わらず普段のメガネモードでは気づかないというのもベタながら良い。

これは正体明かしのシーンがいまから楽しみだ。司会者の立場なのにチームの人数不足の危機を目の当たりにしてステージ上で颯爽と変身、とか想像出来て楽しみだ。顧問の反応も楽しみだ。

セガファンという癖の強そうなキャラにもなっている。セガファンってなあ、どう扱って良いのか分からないよ。当人達は硬派だの気取っているのかも知れないけど、見る目が無い人でしょ。セガファンの異性に何気にアプローチされる主人公は、一過性のモテに喜ぶよりも自身の将来性に疑問を感じなきゃならんだろ。

■笹沢左保「木枯し紋次郎 (十一)」/光文社文庫



「白刃を縛る五日の掟」「雷神が二度吼えた」「賽を二度振る急ぎ旅」「年に一度の手向草」「お百度に心で詫びた紋次郎」、以上5編収録。

「お百度に心で詫びた紋次郎」がまた最終回っぽい。以前最終回っぽかった回は、珍しく心を許した幼児に結果的に謀られて対多の危機で生存不明な幕引きであった。今回は定住地を見つけかけたトコロで住むに住めない事情が出来、再び旅路に。そしてその後の消息は不明というラストであった。不明も何もリアルタイムで読んでない今なので、まだその後の活躍は見れると知っているワケであるが。

定住しようとした回は以前もあったが、今回はその時の障害も最初から除外してて本当に安住出来そうな条件を作者頑張って見せてきていたな。

「年に一度の手向草」も姉の話クローズアップで数少ない紋次郎の因果絡みの導入。が、その後は特に姉は関係なしだったのがやや残念かな。しかし過去エピソードのネタバラシをちょろちょろと入れてて珍しいかも、と感じた。他、凄い刀を入手してそれがその後の話でも触れられていたりするのも何だか珍しい。

■夢枕獏「餓狼伝 11」/双葉文庫



巻の大半はホセ・ラモス・ガルーシアが参加するトーナメントの様子が描かれる。既に充分強敵が跋扈する作品だけど、馬乗りパンチキャラは当時のリアル世界の格闘シーンからどうしても避けられない存在だったのだろう。それを抜きに格闘作品は描けないぐらいの。

刃牙では幼年期編ラストでこのタイプのキャラは既に地下闘技場で倒されてましたって感じで、地下闘技場はロマンも込めたその先の格闘になっていたな。夢枕獏はそういう風に処理出来ずに挑んでいる模様。

最後の最後「転章」で丹波再登場。梶浦戦とは違い今回の敗北は伸ばす要素が見当たらず空っぽ状態になっている。が、魂は姫川に屈したのに、どうやら心が完全に折れているワケではなさそう。外伝の仕込み杖キャラも再登場、しかもおでん屋の親父に瞬殺される噛ませという扱い。おでん屋の親父が姫川源三と名乗ったトコロで今巻は終了。

面白い。姫川対策を姫川の肉親から得るんだろうか。姫川の強さのルーツに触れられるかも知れないので、続きがまた気になる。

■岡田淳「選ばなかった冒険」/偕成社



眠りにつくとRPGのような舞台の世界に突入、「光の石」を見つけ出す旅が始まる。そんな児童書。

寝たらゲーム世界って、去年チャンピオンの漫画にあったけど、どうも合わない内容であった。そしてこの作品であるが、こちらは面白く、興味が尽きない展開で楽しく読み終えられた。

外枠だけ見たら似た設定の作品なのにこの差は何なんだろうか。夢の中のゲーム世界に入った場合、読者が疑問に思うコトと主人公が疑問に思うコトが一致していたというのが大きいかな。そこに焦点が当てられて話が進んでいく。

チャンピオンの漫画は描きたいものが別にあって(ダンジョン探索とか?)、その舞台を整える為に夢世界を用意したんだろうが、その世界の謎のほうが読者は強く興味持つよなーという。

当「選ばなかった冒険」、終盤では予想外の出来事も起こる。児童書と油断していたので良い展開であった。ラストがあっけないが、これもこれで良いな。

■夢枕獏「餓狼伝 10」/双葉文庫



丹波、姫川にボロボロに負ける。試合上はノーコンテストになっているが、脱糞までしたし心も完全に折れている。

まず梶原との再戦があり、恐怖を感じないのを知る。試合なので目潰しを警戒していない梶原、故に恐怖を抱かない。ここでまず丹波が立っている場所が既にステージ違いとなっている。

さらに控え室に乱入してきた文吾との闘い、こちらは何でもアリな状況で実際丹波は相手に金的を放っている。この戦いで負傷したが、ダメージを受けていたので姫川戦負けても読者は納得するでしょ的な乱入戦ではなく、むしろ逆で、丹波が完全に覚醒した描写。梶原戦で次のステージを匂わせつつもまだ疑念を抱いていた丹波、そのステージで遠慮なく戦える精神状況に突入。

そして、そんな現時点でこれ以上のパワーアップは無いトコロまで一気に登り詰めた丹波が姫川にボロクソに負けるというのは熱い。目潰しも使ったが相手はそれを理解した上で凌ぐ。こんなに強くていいのか姫川。像山、巽に次いでせいぜい三番手でしょ、作中での強さ。

丹波の再生に時間かかるのかなあ。他の強キャラ同士の戦いをその間描いて欲しい。

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